昭和司法書士事務所

《ケース1》
母親の老人ホームの費用を払うために母親名義の不動産を売ろうと思うんだけど、
母親は認知症で理解することができなくて契約ができない…

《ケース2》
夫が亡くなったので相続の手続きをしているけれど、
長男に重度の知的障害があるので遺産分割協議ができない…

このようなケースを解決するのが成年後見制度です。

成年後見制度とは、判断能力が不十分な方(本人・成年被後見人)を法律上保護する観点から、本人の代理人となる方(=成年後見人)を裁判所が選び、その代理人が本人に代わって本人のために手続きをする制度です。

既に判断能力が不十分な方を保護する制度は、法定後見制度といい、判断能力が全くない状態から、不十分な状態まで、後見→保佐→補助 と3段階に分けられます。本人がどの段階の状態かは、申立時に主治医の先生に書いていただきます診断書によって主に判断されます。

上記《ケース1》《ケース2》の場合も、成年後見制度を利用し、《ケース1》ではお母さん、《ケース2》では長男に後見人等が就けば、手続きを進めることが可能となります。

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所に申立て、
代理人を選んでもらう手続きが必要となります。

 ○申立てができる人→本人・配偶者・4親等内の親族等
 ○後見人等に就任する人→裁判所が決定する
 (申立時に候補者とした人が必ず後見人等に就任できるとは限られません)

普段身近に生活を支援されている親族が成年後見人として選任される場合も多いですが、親族を成年後見人候補者として申し立てをしても、ご本人名義の財産が一定額以上の場合や、親族の中に適当な方がいらっしゃらない場合は、弁護士・司法書士・社会福祉士等の第三者が選ばれます。

申立ての準備→申立→裁判所による調査→審判→審判の確定
⇒本人の代理人としての仕事が始まります。

※申し立ての準備から審判の確定までは通常2~3か月かかります。

○代理人の仕事は、本人の財産を管理し(財産管理)、本人の健康状態や生活状況に目を配る(身上保護)ことです。

これは、本人の意思を尊重し、本人の立場にたって、本人のために行うことが必要です。

 よって…
  1.本人の財産を損なう恐れのある行為は原則認められません
    (投機的な運用・贈与・貸付・担保の設定等)
  2.金額が大きい財産を処分する場合は裁判所への事前相談必要です
    (本人の自宅を処分する場合は裁判所の許可が必要)
  3.定期的に裁判所に報告書の提出が必要です
    (そのために日常的に財産の収支・生活状況の把握と記録が必要)


代理人として適さない事由が生じた場合は、裁判所は代理人を解任することがあります。

○代理人の仕事は、原則として本人が亡くなるまで続きます。

例えば、本人の財産処分の必要があるために代理人選任の申立て手続きをした場合、選任された代理人は、財産の処分が終了しても、引き続き本人のために本人の代理人として仕事をしなければなりません。

【申立費用】
印紙・切手代・・・約1万円
鑑定費用・・・最大10万円
(診断書の他に鑑定が必要と裁判所から指示があった場合)
申立書類作成報酬・・・8万円
(当事務所に依頼された場合。事案によって変更が生じます)

【代理人(後見人・保佐人・補助人)の報酬】
代理人が1年に1回裁判所に報酬付与の請求を行い、裁判所が報酬を決定します。決定した金額を本人の財産から支払っていただくことになります。
裁判所が決定する報酬の金額は、本人の財産の金額により、月額2万円 ~5万円くらいです。